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最高裁判所第二小法廷 昭和29年(あ)3281号 決定 1956年8月22日

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人多田紀の上告趣意第一点は、事実誤認、法令違反の主張を出でないものであり、同第二点は量刑不当の主張であって、刑訴四〇五条の上告理由にあたらない(磁石を用いて遊技場のパチンコ機械から玉を取る所為は、たとえ、その目的がパチンコ玉を景品交換の手段とするものであったとしても、経営者の意思にもとづかないで、パチンコ玉の所持を自己に移すものであり、しかもこれを再び使用し、あるいは景品と交換すると否とは自由であるからパチンコ玉につきみずから所有者としてふるまう意思を表現したものというべきもので、所論のようにいわゆる使用窃盗とみるべきではなく、パチンコ玉に対する不法領得の意思が存するものと解するのが相当である。それゆえ原判決が被告人の本件所為を窃盗罪にあたるとしたのは正当であって、所論のような違法は認められない)。また記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。

よって同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 小谷勝重 裁判官 谷村唯一郎 裁判官 池田 克)

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